小売業、サービス業の用語解説
 基本用語

アソートメント Assortment                     より詳しくは。。。
 取り揃えること、組み合わせること。               小売業用語辞典
したがって、品揃えを意味する。

アップスケール Up-scale
 内外装やサービスの質をより洗練させて、
イメージを高めること。
 価格ゾーンの等級を上げるグレードアップ(高級化)とは全く違う。アップスケールは「洗練させること」であって、今よりも「ひと皮むいて魅力を増す」とか、「イメージを一つ上のレベルに高める」ことである。(後略)

イノベーション Innovation
 「革新・刷新・新機軸」。刷新であって、「発明発見」や「技術革新」ではない。
 ドラッカー教授によるとイノベーションは、「儲かっていない活動を儲かる活動に作り変えること」、「それは、物の考え方や仕事の方法を変えることによって、客(得意先)の価値観を変えさせ、客を満足させて、自分も儲けることだ。そして、新しい付加価値(粗利益)を生み出すために、すべての部門が取り組むべき根本的な活動である」。(後略)

ウィドス Width
 品揃えの広さ。すなわち、品種が多いことだが、単に品種が多いだけでは豊富にはならない。
 まず、顧客が欲しい品目が存在すること。だから豊富なのである。そしてさらに、選びやすい形で豊富さが実現していることが大事。

ウォンツ商品 Wants Goods
 消費者が求めているが、店がまだ提供していない商品。
 消費者は、これまでなかった商品に強い憧れを感じる。スターバックス・ジャパンは、これを「手の届く贅沢(アフォーダブル・ラグジュアリー)」と捉えて若い女性の心を掴み、急速成長を遂げた。ウォンツ商品は、消費者が求め始め、憧れを感じている商品であり、メーカーや店が提供し始める商品なので、低価格競争の要素は少ない。
 「ニーズ商品の低価格競争」の次に時流となる「ライフスタイル商品」は、ウォンツ商品の典型である。(後略)

カスタマー・サティスファクション Customer Satisfaction
 顧客の満足度は、例えばアンケート調査を実施して把握することができる。この指数が例えば157ならば、「あの店は良い」と5人の知人に伝え、110ならば3人に、87ならば1人に伝えると言われる。
 ある調査では、以前にCSのインデックス(項目)の40%を占めていたサービス(60%は商品)が、90年度には50%となり、95年度には60%を占めるとされている。
 カスタマー・サティスファクションは、アメリカのチェーンストアが早くから強調してきた経営理念。それが、全産業に普及し始めた。

既存店
 開店後13ヶ月以上経過した店。
 小売りサービス企業の年次・月次の営業報告書に、「既存店」の意味を注意書きする例が多くなった。すなわち、「当社における既存店とは、開店後13ヶ月以上経過した店舗を指します」という言葉が多く見られるようになっている。中には「1年以上」としている企業もあるが、前年同月との比較が必要なので、営業管理上は「13ヶ月以上」が適切だ。

クリンリネス Cleanliness
 磨き上げられて光り輝いている清潔さのこと。単に掃除をして清潔であるだけではなく、床であれば照り映え、荷物などの整理整頓も行き届いている状態。すなわち、整理・整頓・清掃・清潔・躾の「5S」を実行することが重要。
 クリンリネスは、アメリカのチェーンストアが1970年代に実現した店舗保全の水準。

コンプライアンス Compliance
 法令順守。企業が、法律や規則をよく守ること。

差異化
 店の独自性を打ち出すこと。競合や競争に対抗する方法として、競合・競争相手とは全く違うやり方を、我が社が独自に追求すること。同業他社が狙わない商品分野、すなわち盲点を狙う差異化もあるが、同業他社が同じように狙っていることであっても、我が社が格段と水をあけて強化して行く差異化の方法もある。(後略)

シンプリフィケーション Simplification
 単純化のことで、作業や経営のやり方を最も単純な形にして行くこと。チェーンストアのマス・マーチャンダイジングを実現するための「3S主義」の一つの要素。(後略)

垂直的統合 Vertical Integration
 生産から加工、包装、輸送、卸し、小売りまでの商品の流れを、一事業体が管理する政策。チェーンストアが、商品の品質を管理し、流通コストを削減するためには、当然に垂直統合(バーティカル・インテグレーション)を実現することになる。

ステープル・アイテム Staple Item
 通称で定番商品とも言われ、消費者に欠かせない商品であり、店としても品切れさせてはならない品目。(後略)

ストア・イメージ Store Image
 その店に対して、顧客が抱いている印象、すなわち店の特徴。これはしかし、店の営業実績によって造り出されるものであって、必ずしも「店側がこうありたいと思っていること」とは一致しない。
 例えば、「接客態度の良い店でありたい」と店側が思っても、感じの悪い従業員によって顧客は"嫌な店だ"と思うかも知れないのである。
 すなわちストア・イメージは、店や会社が実行してきた、@接客態度やクリンリネスの程度、A品揃えと品質、B安さなどの実績によって決まる。

ストア・コンセプト Store Concept
 小売り企業のトップ・マネジメント(代表決定権を持つ経営者)が、「こういう店にしたい」と思い描く店の姿。コンセプトとは、概念、すなわち「このようなもの」と思う全体像。
 つまり、ストア・コンセプトとは、店側(経営者)が「こういう店にしたい」と思っている内容だから、過去の実績ではなく、今後の理想像である。
 ところで現実には、顧客が抱いているイメージ(過去の蓄積)と、店側が望むコンセプト(未来)とは、必ずしも一致しない。
 そこで店側(経営者と従業員)は、コンセプトとイメージの間のギャップの原因を分析し、このミゾを埋める努力をし続ける必要がある。

ストア・コンパリゾン Store Comparison
 店舗比較。すなわち、自店を他店と比較して分析すること。@自店の改善・刷新に、Aさらには他店にはない自店の価値要素を見つけ出すための調査である。(後略)

ストア・ブランド Store Brand
 ナショナル・ブランド(NB)の品種について、チェーンストア(CS)が独自に開発した商品。つまり、NBの改良版。従って、一流メーカー(製造・加工業者)に仕様書によって発注することになる。(後略)

スペシャライゼーション Specialization
 他店が真似できない差異化を実現すること。そのような専門特殊化を狙う店を、スペシャルティ・ストアと呼ぶ。

スペシャルティ Specialty
 その店だけが持つ特殊性や個性。他店が真似できない差異化のこと。この差異化は、主として商品面で進められるが、安易に高級化することではない。(後略)

戦術 Tactics
 戦略を実現するための、具体的で細かい方法。したがって戦術が先にあるのではなく、まず戦略があって、戦略に基づいて戦術を考え出す。さらにその現場を戦闘という場合もある。

戦略 Strategy
 経営で言う戦略は、実は「戦うこと」ではない。本当は、「戦いを略する」、すなわち「戦わずして勝つこと」である。(後略)

チェーンストア Chain Store
 同一資本で同業態を11店舗以上経営する形。コーポレート・チェーンとも言う。コーポレートとは会社のこと。これに対して、いくつかの小売店が共同出資をしてチェーンの形を取る場合は、コオペレイティブ・チェーンと言う。共同出資によらない共同チェーンはボランタリー・チェーンだが、卸し商が主宰することが多い。またフランチャイズ・チェーンは、本部企業(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対して、商品または技術、ノウハウを提供する制度。

TPOS(ティー・ピー・オー・エス)
Time、Place、Ocasion、Style
 タイム(T)・プレイス(P)・オケージョン(O)・スタイル(S)の頭文字が、TPOS。
 つまり、時(タイム)・所(プレイス)・場合(オケージョン)・好みの形(スタイル)によって、求める商品が変わることを指す。そしてこの傾向は、豊かでテクノロジーが進む先進国で益々顕著になっている。

適正規模 Appropriate Size
 店が、最大の効果を発揮できる売場面積の大きさ。別な言葉で言えば、顧客が豊富だと思えるだけの品揃えに足りる売場面積のこと。(後略)

デスティネーション・ストア Destination Store
 顧客が「その店だけを目的に来店する」店。その店にしかない品、しかも絶対に信用できる品が、どこよりも多く、確実に揃っている店。
 そして、どうしても行きたくなるような、提案と演出のある店である。したがって、SCや商業集積での集客・核店になる。
 デスティネーションの意味は、目的地・行き先。

デプス Depth
 品揃えの深さ。すなわち、扱い商品のうち、特定品種については圧倒的な品目を増やした状態。例えば、シャンプーという品種については、他のどの店も真似できない品目数を揃えた状態。(後略)

デマンド Demand
 ニーズは「必要」で、デイリー・ニーズが「日用必需品」。デマンドは「需要・要求」である。
 消費者が求める物の全体がデマンド(需要)で、需要供給(demand & supply)と言われるように、市場全体を捉えた言葉である。そして、このうち特に欠かせない物がニーズ(必需品)である。
 消費者が求める物をすべて「ニーズ」と言う人が多いが、実際には「デマンド」を指していることが少なくない。「ニーズ」と言う場合は、特に「欠かせない必需品」に限定されることに注意したい。

ドミナント・エリア Dominant Area
 1企業の店または営業所が配置されていて、圧倒的な市場占拠率を獲得している地域。見方を変えれば、その地域の顧客がその企業を圧倒的に支持している地域でもある。地域一番の状態で、圧倒的に1社が支配している地域。

ニーズ商品 Needs Items
 必需的な商品。消費者が求めていて、店も提供している商品。必需品なので、低価格競争の対象になりやすい。
 これに対してウォンツは、消費者が求め始め、憧れを感じている商品であり、メーカーや店が提供し始める商品なので、低価格競争の要素は少ない。

ニッチ Niche
 棲み分ける座・位置。「花瓶などを置く壁のくぼみ。人の才能・力量に適した地位・活動範囲」という意味から、企業が生き残るための座・位置(ポジショニング)を指す。ニッチを隙間産業と言う人がいるが、ニッチは隙間という意味ではない。
 自社だけが発揮できる特徴を探し出すことが、ニッチ作りの急所になる。

ビジョン Vision
 展望。将来への可能性として心に描く展望。
 「ミッションへ到達するまでの道筋(ロードマップ)」。「どのように目標に到達するか」という「展望」でもある。

ビッグ・ストア Big Store
 1社で年商50億円以上の小売業及び食堂業。(後略)

標準化 Standardization
 最も良い方法に統一して、能率を最高の状態にすること。標準化は主として、オペレーション(作業)や組織維持のために進められる。したがって、作業の基準が大事であり、これが例外行動なく最も合理的な方法で行なわれることが必要。さらに、物事を処理するための決定の基準もまた、例外のないことが効率を高める。
 標準化はしかし、一度決めればそれで良いというのではなく、より良い方法を発見する度に修正する必要がある。
 また、標準化はチェーンストアの3S主義の一つである。3S主義とは@シンプリフィケーション(単純化)、Aスタンダーディション(標準化)、Bスペシャライゼーション(専門特殊化)の3つである。

プライベート・ブランド(PB)
 ナショナル・ブランド(NB)商品がない商品分野で、小売店向けに新しく開発した商品がPB。つまり、主には大企業ではない産地や加工場(中小メーカー)に、仕様書によって発注して作らせる商品。
 これは和製英語で、英語ではプライベート・レーベル(Private Label)と言うのが一般的。(後略)

ブルー・オーシャン戦略
 「ブルー・オーシャン(BO)戦略」(キム氏・モボルニュ氏の共著)の狙いは、競争相手や業界全体が見落としている「価値要素」を打ち出すことである。これによって自店は競争をはねのけ、独自の路線を進むことができる。
 そのために行なう分析が、「戦略キャンバスに価値曲線を描くこと」だ。この分析の結果、自社は「4つのアクション」を起こす。BO戦略は、「4つのアクション」によって、実現へと向かう。
@これまで提供してきた価値要素で、取り除くべきものを除く。
A思いきり減らすべき価値要素を減らす。
B大胆に増やすべき価値要素は大いに増やす。
C業界でこれまで提供されていない、付け加えるべき要素を加える。
 「4つのアクション」により、新たな価値要素を「増やし・加える」代わりに、不要な要素は「減らし・取り除く」。これは、トレードオフ(同時には達成できない要因の釣り合い・かねあい)の常識を打ち破る方法だ。つまり、取り除きながら加えるから、コストを増やさずに価値を加えることができるのである。(後略)

ベンチマーキング Bench Marking
 ベスト企業・エクセレントカンパニーに学ぶことだが、ベンチマークとは「水準基票」のこと。すなわち、非常に高い水準にある目標である。
 ベンチマーキングはベスト企業を目標として、そのベスト・プラクティス(経営と実務の最も優れた実践方法)を学ぶことである。
 自社の現状をベスト・プラクティスと比較することにより、自社の現状を客観的に評価することができる。これにより、経営刷新に関わる社員全員にとって、具体的な目標が明確になる。

ミッション Mission
 個人および企業の使命。「何をやりたいのか」であり、したがって「目的」である。アメリカの会社には自社のミッションを明示する例が多いが、これは日本企業の経営理念とほぼ似ている。
 これを明示することによって、@企業の場合は会社の目標、Aそして個人の場合は自分の目標が、非常にはっきりと見えてくる。(後略)

ライン・ロビング Line Robbing
 より有利な品種または部門を、売場に加えること。従来扱っていなかった部門を一つずつ付け加える形を取る。
 ラインとは、特定価格ゾーンの品種であり、ロビングとは奪うこと。つまり、最も有利なライン(単なる品種ではない)を付け加えて、品揃えを強化することである。
 単に総合化するためにライン・ロビングするのではなく、店を強化するために部門または品種を増やす。(後略)



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